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ブラックボックス化の原因

税務調査はブラックボックス  ガサ入れされました

国税通則法74条の10(事前通知を要しない場合)の規定により、脱税した証拠を隠したり破棄したりする恐れがある場合は、事前通知なしで調査が入ることができます。

突然、朝から何人ものスーツ姿の調査担当者らが、事務所内、自宅などに来て、私物も含め、部屋の中をガサ入れされた、犯罪者扱いされた、人権侵害だと憤りを表に出す人もいました。

金庫がある場所が寝室だったり、机の引き出しだったり、普段持ち歩くカバンだったり、スケジュール帳など、調査に関係ないものまで、さらけ出すことは、質問検査権に対する受忍義務があると言われても強い抵抗があったり、躊躇するのは当たり前です。でも、調査担当者は、確認しないと終われない。

もちろん、代表者の了解を得て実施しますが、無予告で来る目的は「脱税している証拠を探す」ことなので、当然、どこにどんな証拠があるのかわからない、脱税して貯めた現金などがどこに保管されているかもわからないから、想定されるあらゆる場所を確認します。

これを現物確認調査と言っていましたが、このような調査は、必ずしもマルサのような強制調査や料調(国税局の資料調査課)のような精鋭部隊的な人たちによるものに限らず、無予告調査でなくても、調査担当者が判断した時に現物確認調査は実施されます。

初日だけではなく、2日目、3日目に実施したり、同じところを別の日に再確認したり、調査担当者が必要だと感じたらするものでした。

立証責任が税務署にある場合、申告が適正でないと認められる証拠を押さえ、それを根拠に過少申告である事実を認定する、そのために現物調査は1つの方法でしかありません。

では、証拠を破棄すれば、課税されないのか?と思われる方もいるかもしれませんが、破棄した事実を把握すれば、厳しい調査になります。

例えば、取引先や銀行などへ反面調査を実施することで、時間もかかるし、反面先からの信用を失いかねない事態も想定されます。

過少申告をしている事実を示す証拠を押さえ、その事実を法律に当てはめるのが調査です。調査のやり方は十人十色。調査官の経験や知識から、より効率的に実施することが求められています。

裁判官は「調査とは課税庁の証拠資料の収集、証拠の評価あるいは経験則を通じての要件事実認定、租税法その他の法令の解釈を経て更正処分に至るまでの思考、判断を含む極めて包括的な概念である(広島地判平4.10.29税資193号274号、同上告審の最判平9.2.13税資222号450号)」といっています。

脱税した証拠を隠したり破棄したりする恐れがある悪質な経営者だと思って調査にくる調査官、経営者が行っていること全てを把握できない税理士、どう対応していいかわからない経営者、それぞれの立場があり、それぞれの感情、言い分もあります。

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