税務調査が入ったことを「マルサがきた」と表現するのを耳にしますが、よく話を聞いてみると、国税局査察部(マルサ)ではなく、税務署の職員だったり、国税局の査察以外の部署の人だったりします。
「マルサの女」という映画をご存じですか?その主人公のモデルになった女性も、査察部で仕事をしたことはなかった、という裏話を聞いたことがあるので、厳しい調査を受けた場合「マルサがきた」と表現するのかもしれません。
しかし、マルサは令状をもって行われる強制調査であり、悪質な場合は最長で懲役10年プラス罰金が科せられます。
一方で、マルサが入る強制調査以外は、任意調査と言われています。
任意調査だからといっても、担当部署によっては、特に国税局の資料調査課(リョウチョウ)はかなり厳しい調査を行います。
誰が来るのか、どういう調査をするのかがわからないことが、納税者にとってはブラックボックスだと感じる一つの要因だと思っています。
一般的な税務調査は、調査の日程の連絡があり、決められた日に決められた場所で、準備するように言われた帳簿や請求書や領収証等の書類を確認することだと思っている経営者の方も多いと思いますが、そんな調査ばかりではありません。
事前通知をしない(無予告)で調査を実施する場合は普通にあります。
リョウチョウのような精鋭部隊だけが実施するのでなく、税務署の調査担当者も件数は少ないですが、無予告調査を実施しています。
「適正に申告していないかもしれない」「脱税しているかもしれない」「無予告で調査に入ったが良い」と調査担当者が判断した場合には、ある日突然、調査に来ることになります。
国税通則法第74条の10では「事前通知を要しない場合」を規定しています。
- 違法又は不当な行為を容易にし、
- 正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれがある場合
- その他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める場合
つまり「脱税をしている状態を押さえる必要がある」「脱税した証拠を隠したり破棄したりするかもしれない」と判断した場合がこれにあたります。
そして、売上の規模だったり、想定される脱税額だったり、その他に複数の店舗があるなど個別の理由でリョウチョウが実施するのか、署の担当者が実施するのかが違ってきます。
また、任意調査は、断ることはできると言われていますが、調査は断らないで受ける方がよいでしょう。
なぜなら、調査担当者には、納税義務者に対して質問・検査等ができる質問検査権が与えられていて、調査を拒否した場合は、国税通則法128条により1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる旨が規定されています。
ただし、調査期間中に代表者の手術が予定されていたり、親のお葬式と重なってしまった場合には、調査を実施しませんでしたので、調査を受けられない事情がある場合は、きちんと調査担当者に説明してください。
無予告調査は予告して入る調査とは違い、突然来るので、冷静な対応ができなくなる場合があります。
まずは、国税局のどこの部署?税務署のどの部門?誰が何人でどこに来たのか、お電話ください。
納税者の不安を減らし、気持ちを代弁し、税務調査に対する不満を減らすことができます。