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数字のはなし

税務調査で指摘 使途が明らかなものも使途不明金?

税務調査で、商品券の購入代金を交際費として処理していた場合、支出先、金額、使途が帳簿に記載がないから、使途不明金だと担当者から指摘されることがあります。

「この商品券、誰にいくら渡したか覚えてますか?」

「メモしていないとわからないでしょう?」

「それが証明できますか?」

と調査担当者は鬼の首をとったように追及してきます。

社長さんは、氏名や勤め先にどういう理由でいくら渡したと答えても、役員報酬は十分で、個人的に費消することはないと判断できても、商品券をお祝いやお礼やちょっとした志として取引先に渡す理由があり、経済合理性があると判断できる業種でも、使途は明らかにして説明しているのに信じてもらえない・・・

法律をみてみましょう。法律租税特別措置法第62条第2項より、使途秘匿金の要件は

  • 法人がした金銭の支出であること
  • 相当の理由がないこと
  • その相手方の氏名又は名称及び住所又は所在地並びにその事由を当該法人の帳簿書類に記載していないもののうち、当該取引の対価として相当であると認められないもの

同法第3項も参考までにご覧ください。

税務署長は、法人がした金銭の支出のうちにその相手方の氏名等を当該法人の帳簿書類に記載していないものがある場合においても、その記載をしていないことが相手方の氏名等を秘匿するためでないと認めるときは、その金銭の支出を第一項に規定する使途秘匿金の支出に含めないことができる。

つまり、法律の要件からは、理由があって、その支払いに対する売上が上がっているなどの取引の経済的合理性があり、帳簿に記載していない理由が、支払先を秘匿する目的でなければ、損金性が認められてもよい、と個人的には読めると思うのですが。

金子宏先生の租税法にも、使途不明金は、常に損金算入を否定されるべきではなく、支出の相手先が不明の場合でも、立証によって費用性が認められる場合には、損金にあたると解すべき、と記載されています。

しかしながら、過去の証拠がないものを立証するのは難しいのです。

その一つの例を紹介します。

平成27年1月29日水戸地裁判決(税務訴訟資料 第265号-14(順号12597))では、商品券の具体的使途の内容を確認できる証拠資料がなく、使途が明らかではないことを理由に使途不明金として損金の額に算入することができないとされました。

裁判官の判断の箇所では、商品券各購入費用が損金の額に算入されないことを課税する側が立証責任を負うべきところ、業務との関連性がないことが事実上推認され、原告により推認を覆す具体的な事実についての主張や立証がされていないことから、結局は、使途不明金であるといわざるを得ないと理由が示されています。

「疑わしきは罰せず」のはずなのに・・・

個人的には、裁判官がその判断に至った経緯に興味がわき、そこが調査対策に繋がります。

そもそも、法人が支出した費用を税務上損金とするためには、その支出内容、支出先の相手方、支出の時期等が明確にしておくことは当たり前。記載していても、課税の公平を理由に調査担当者は疑ってくることにモヤっとします。

嘘はついていなくても、真実を語らない数字は悪に見えるのでしょう。

ならば、真実を語る数字にすればいい、何ももって証拠とするか、疑いももたれない数字を作る方法はご相談ください。

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